2017/08/25 (金) 03:45:54

同じ緯度の下で

もう春から、いや調べたら今年に入ってからずっと
同じ作者の本を読み続けていることがわかった。
この小説は全6巻あり、2巻を今年に入って読み進めている。もうすぐ終わる。
とは言え私は基本的に読み進めるスピードが大変遅く、普段は読書のための時間はほとんど設けない。
移動中のときぐらい。


で、せっかく夏ですしと思って
数年前に買った『夏休み』(編 : 千野帽子) という、11人の作家による夏にまつわる短編作品がつまった文庫本を取り出して、久しぶりに違う作家の作品に触れてみた。
さすが、3つの季節を1人の作家縛りで読み続けていただけあって、
それとは違う文体に慣れないというか、
淡々としているなぁ、面白くないなぁという感覚があった。
でも本当にこの作品は面白くないんだろうか、
自分には合わないんだろうか、
そういえば一度読んだことあるのに初めて読んだような感覚だ、つまり覚えていない。
でもその面白くないトンネルを掘り続けたら
出口、明るいところに出られるんでないかと思い
宿題でもあるかのように頑張って読み進めた。


それは片岡義男さんの『同じ緯度の下で』である。
地図を眺めて同じ緯度上の遠くに住む、異母姉:愛子と哲夫17歳の話である。
そう、はじめは淡々としていたけれど
私は片岡義男さんという方は、文房具に関しての本を出すぐらいそれに詳しい方だというところから知ったから
話の後半、哲夫は異母姉:愛子に恋の感情を抱いているということに気づいたところから
スピード感のある展開になった。
愛子に会いたくなった哲夫は、まずは手紙を愛子に送ろうと考えついたのだ。
そのあとに、良いレターセットと文房具を揃えなくては!と
わざわざ東京行の特急列車に行って
文房具を買いに行ったところを読んで、ちょっと笑ってしまった。
ああ、片岡義男さんだ…と思った。
ここで、前に読んだときも、この部分で自分が「片岡義男さんだ」と面白く思ったことを思い出した。
物語を忘れかけていたのに、不思議だった。
心に染み入ったところはもちろん文房具のところだけではなかった。
穴を掘り続け、最後まで読み切った頃には
明るい場所に自分が辿り着いたことがわかった。
とても良い短編作品だった。


とまぁスーパー長編小説の口休めに短編小説はちょうど良いなぁと思った。
何冊もの本を並行して読む方法、
ひとつの本だけど読み続ける方法、
方法と言ったら堅苦しいけどタイプがあるとすれば
試した限り、私は後者のタイプということがわかった。
頭の弱いことに、いくつもの長編小説を並行して読んでいると、
登場人物や状況がごっちゃになってしまうから。


短編小説はいけるな。
焼きそばに添えられた紅ショウガとか
カレーに乗った福神漬けとか
別作品がそういう役割を担っているようだ。
なんとか今月中にこのスーパー長編小説を読み終えたい気もするし、
今月中にこそ『夏休み』の中の作品をたくさんかじりたい気もする。
昔は読書が嫌いだったのに、変わるものですね。

夏の高校野球の音がテレビからもう聞こえない8月24日。
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2016/10/07 (金) 01:49:05

植本一子『かなわない』

単行本を未だ読んではいないが
その前に出た自主制作版は知り合いから借りて読んだ。
読み終えたのは、とうの数ヶ月前で、忘れてしまった内容や感覚もあるが、当時メモ的に書いた自分の感想が新鮮に感じた。
比喩的な表現も、また読めばきっとわかる。



5月9日

読んでて「いいなぁーっ」とは思わないが包み隠さない清々しさがあった。
私は結婚もしたこともないし、子どもがいるわけでもないけど、グサリ、グサリ。
でも彼女は、本当に良い心療内科の先生や、自分の心の状態に名前や札を張って明確にしてくれる先生に恵まれていると思ったよ心から。"羨ましい"じゃない、"よかったね"と。

自立できているか。
これを考えると、私はできている方だと思う。
まぁ昔と比べて少ない気がするんだけど。笑
先生の言葉や導きを自分に当てはめてみる。
過去を振り返ることは、苦しい作業でもある。
でもこれが、葉っぱじゃなくて枝や根を認める作業になる。
変えることはできない、
たぶん、認めること…だと思う。

救いに思ったのは、彼女に蜘蛛の糸がぶら下がっていること。
つかまって、光に近づいたと思いきや、あるときジタバタしたら糸は切れる。
それでも糸はまた現れ、なんとどんどん丈夫になってくる。この繰り返しなんだな。
白いときゃ白い、黒いときゃ黒い。
それは、自分の白も黒も認めること。
黒をきっぱり欠けさせないこと。
黒も自分を形成するひとつだ。
とにかく、感想がいくらでも出てくるよ。一子さんにお会いしたいな。

 
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2016/07/14 (木) 03:39:33

最近読んだもの

エッセイや、なんだかおかしな作品の割合がちょっと高い。
今は、純粋な物語、小説を読んでいる。
これは、レビューのようでレビューではありません。



■ときには積ん読の日々/吉上恭太
音楽の一面から知った吉上恭太さんが書かれたエッセイ。はじめからあとがきまで、力を抜いて読めるものだった。軽薄ではない。できるだけ長く、細々でいいから好きなことをやって、色んな人と会っていきたいなと思えた。


■さようなら、ギャングたち/高橋源一郎
誕生日にもらった。なんじゃこりゃあって感じの変な作品を一撃くらった。縦、横、斜め、どうやって読んだらいいんでしょう。もう一周してまた何か発見するかも。


■かなわない/植本一子
女性、写真家、2児の母、植本一子さんの日記。今年、単行本が発売されたが、その前に発売された自主制作版を知り合いから借りて読めた。生きることや暮らしの中の問題を、根本的に解決することは自分自身であると思うが、紐といていく作業は、人の力もあると良い。一子さんは、その紐とき作業の手伝いを出来る人に恵まれている。これってすごいことなんだぜ。


■心が見えてくるまで/早川義夫
友達の結婚式のあと、酔いさまし(笑)に書店へ行ってツルっと買った一冊。


■アメリカの夜/阿部和重
安部公房の『燃え尽きた地図』を探したが見つからず、安部公房コーナーの隣にあったこの作品をジャケ(装丁)買いする。当時わたしは、漠然とアメリカに行きたい気持ちを持っていたが、物語の地は1mmもアメリカではなかった。映画製作部の中で誰よりも「気違い」でありたい唯生が情熱を注ぐ矢印が面白かった。



後輩と文通をたまにしている。手紙に書いてあった「人生、案外どうにかなるもんですよ(笑)」という言葉はふと思い出して、気持ちが軽くなる。


 
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2016/06/05 (日) 12:01:54

早川義夫『心が見えてくるまで』



くだもの / 渋谷毅+白波多カミン



昨日から喉が超痛い。
熱が出てつらいから病院で診てもらった。風邪だった。
お医者さんが、薬の名前や効能を、ペンで指しながら説明する。
ペンの頭が、うん○の形をしたキャラクターで
それでも先生は真顔で説明を続けていて、
この人は攻めるなぁと思った。
もしふとした拍子に笑い出してしまったら、咳き込むふりをしようと思った。


待ち合い室で、早川義夫『心が見えてくるまで』を読み終えた。
ミュージシャンである早川義夫さんのエッセー。
はじめは、女の子の話ばっか書いてあるなぁまぁ読み終えたら売ろう、程度に思っていた。
でも、包み隠さない恥ずかしい話や、いけないことのような話が、潔く素直につづられていて逆に悪い気がしなかった。
読みやすい文体でありながら薄っぺらくない、
きちんと入り込めてしまうような内容ばかりだった。
売らずに持っておこうと決めた。


 
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2016/04/26 (火) 03:11:52

スイッチ

用事のあとにふらふらと東通りを歩く。
ここは池袋らしからぬ街並だ。
穏やかだけど、洒落た飲食店も、年季を感じる謎の飲食店も存在してる。
池袋は嫌われがちだが、そんな人たちにはこの通りを歩いてみてほしい。


天浪院書店に初めて入った。
小さな本屋なんだけれど、カウンター席やテーブルもあり、こたつで、まるで長らくそこに居座っているかのような学生らしき2人が作業をしていた。
飲み物も飲むことができる。
どういうシステムかわからんので、カウンターに立つ美人の店員さんに「初めて使うんですけど…」と尋ねると
それがイレギュラーな質問だったのか
美人の店員さんはたどたどしく、でも一生懸命に説明してくれた。
合間に垣間みれた方言がよかった。
私はあったかい飲み物を頼んで、棚から気になる本をつまみ出して、テーブル席でチミチミ読んだ。
あっという間に時間が過ぎていった。




帰り道にはジュンク堂書店も通ることになる。
懲りずにそこにも吸い込まれた。
体験談、、私が今必要としている体験談は何かないか、、と3階に着いた。
膨大な数のタイトルから、そのようなエッセーは見つけられるのか?
彷徨っていると、魅力的な表紙が目にとまった。
SWITCHの5月号で、マツコデラックスが青いドレスを着て
そこには「マツコデラックスがSWITCHに出たくない理由」というショッキングピンクの文字が載っかっていた。
青にピンク、私の好きな色の組み合わせ…
「出たくない」と思いながら、もう「出てしまっている」状態。
これはもう手にとらないわけにはいかない。
立ち読みしてたら思わぬ箇所にグッときたから買うことにした。


興味深いことばかり言及している。

彼女(彼)は、テレビ界における自分の立ち位置をよくわかっている。
「あたしなんていつか必ず神輿から突き落とされて、みんなからボコボコに蹴られる日が来る。逆にあたしはそんな日が来るのが今から楽しみなんです。多分その時が本当の意味でクリエイティブなことが起きる時なのよ。」
(クリエイティブって、テレビ界にとって、ってことかな。)
私は、彼女に飽きる日が来る気がしないんだよなぁ、今。

最先端とはどこなのか。何なのか。
もう東京だとか、表参道だとか、渋谷だとか、
メディアが仕向けた最先端と呼ばれる地なんてのは、もう最先端なんかじゃないんじゃないか。
誰も目を向けず気がついていないものこそ、最先端なのではないか…
など、頷けることばかりだった。
気がつけば、マツコが表紙のSWITCHを手にうたた寝してた夜。


必死に、自己啓発的なものだとか心理学的なものだとかエッセーだとかを探そうと思っていたけれど
案外、目的外の興味深いところから、
ヒントや癒しを得たりするものだと経験上思う。
前に同じようなこと書いた気がする。
気にしないで。

 
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