2017/04/22 (土) 23:16:36

お見送り

新潟の祖母のもとへお盆に遊びに行った際は、親戚のKさんにほとんどお世話になっていた。
新幹線の駅から家への送迎をしてくれたり、
忙しければ従兄弟を派遣してくれたり、
車で田舎のでかいスーパーに一緒に買い物しに行ったり、
ご飯を用意してもらったりした。
明朗なKさんの存在は安心感があって、誰もがそう思っていたと思う。


そんなKさんを、今度は私たちが見送ってきた。
先日、病気で急逝してしまい、告別式のために新潟へ行った。
親戚の家に着くなり、葬儀の花輪がいくつも並んでいて、家に入るなり、どこぞの日本海だろうか美しい海に青いシャツを着たKさんの遺影がすぐ目に入った。なんて美しい写真なんだろう。
そして棺の中のKさんと顔を合わせた。
従兄弟とよく似ているなぁと、当たり前のことを思った。
きっとKさんの体に魂が入っているうちに会ったら、
「ん〜きれいになって〜」とか
「痩せたの〜」とか
言われたのだろうな。


バスで告別式の会場へ向かうときなどに、
一緒に行ったスーパーやホームセンターが見えた。
タオルで顔を覆った。


夏休み、お盆をまたいで何日間か親戚の家に泊まり、
東京へ帰るため車で駅まで送ってもらった。
寂しくなって車の中で思わず泣いてしまい、タオルで顔を覆った。
毎回、従兄弟と遊んだことや、ばあちゃんと離れることで、情が引きちぎれるような思いでそうなってしまうのだ。今はあまりないけど。
「どうした!?…そうか〜優しいんだねぇ〜」
寂しくて泣くことがなぜ優しいのか、
ちょっと今でもよくわからないが
良い子だねぇ〜って言ってたんだっけな、忘れた。
そしていま会場へ向かうバスの中の私を見てKさんは、
きっとまた「優しいんだねぇ〜」と思ったのだろうか。


Kさんがふるまってくれた料理の中で忘れられないのは、
自家製の梅シロップ(日本酒割)とカフェオレである。
料理っていうかドリンクか。
梅は本当に美味しかった。
私も梅シロップ2回ぐらい作ったことあるけど、どういう製法か知らんが到底近づけやしない。
たぶん聞いてみたとしても、庭の梅を砂糖につけておいただけ、という私も知っているシンプルな製法を答えるだろう。
東京と比べると、空気も水も違うから当然か。
新潟にくると料理がなにもかも美味しいことが大人になってわかってきたのだが、
あるときKさんが
「何か飲む?コーヒーもあるし、カフェオレとか?」
と聞いてきたのでカフェオレを用意してもらった。
なななんだこのコクと味のバランスは!
さすが、何もかも美味しい国だ…
「なんかめちゃくちゃ美味しかった。どういう配分なんですか?」
「カフェオレ?インスタントだよ。粉をお湯で溶かしただけ。」


この日の南魚沼市は雨の予報だったが
出棺のときには陽が差し、穏やかな天気になった。
つい3日くらい前までは氷点下で、地面に雪も少し残っていたと聞いた。
山には雪が残っていて、白かったり青かったり、ちょっと緑が生えていたり、赤かったりした。
そして桜があちらこちらで咲き始め、ツバメも飛び交っていた。
真夏の青々とした景色はよく知っているけど、
春に向かおうとしているこの景色も、色彩が豊かで好きなんだよな。
葬儀の会場近辺、多少寒くてもよく外に出て、ツバメの行方を追ったり、山を眺めたりした。
Kさんをみんなで見送った。
計り知れないほど、ありがとう。
美しい景色を、家族全員で見れてよかった。

 
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