2017/09/11 (月) 18:45:15

あたいの夏休み4 京都編

8月28日
目を覚ますと京都市左京区の空が見えた。
旅先ではいつも早起きできる。
せっかくだし二度寝しないで動いてみた。


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住宅街の中に居るのが、まるで住んでいるみたいで気持ちがいい。
秋の空感は認めざるを得ないが、まだ夏だ。
歩いて数分のところにある、京都造形芸術大学に潜入した。
白川通りに面する道から大きな階段がキャンパスに導く。
思った以上に、どこから眺めても迫力ある建物だった。
さらに正面を進むと長ーい階段がある。
この坂もまた、実に登りたくなる坂である。全力で自分のペースで登った。
その勾配は急で、階段の中央にも大きな木がドンと直立していた。
何段あるかわからない階段を登り詰めると、そこからは京都市の景色が見渡せる絶景スポットがあった。
なんだここは。山じゃないか!
この建物は、自然の形に沿って建てられていることがわかった。


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すれ違う学生は、学生だとすぐにわかる。
学生からも、一般人が一般人だとすぐにわかるのだろうか。
一般の人が利用できることはわかっているものの、
観光客みたく(観光客なんだけど)珍しそうに写真を撮ったりあたりを見回している自分が恥ずかしくて、
学生とおぼしき人とすれ違うときは、なにも興味がなさそうに装ってしまう。
それでも学生にとってはここを歩いているのが当たり前で、私がどんな振る舞いをしようと、きっと何も気にしないのだ。


ロビーにはテーブルと椅子が置かれていて
制作チームみたいな5、6人の学生たちがなんかを組み立てた物を持ちながら
話し合いをしていた。
夏休みなのにやることいっぱいだね。
そこには、パンや飲み物を販売しているコーナーがあった。
朝食は既に食べたけど、何か注文したくなった。
慣れた様子でカウンターの店員に「グァバジュースください。」というと
午前の眠たそうなテンションで

「すみませんまだやってないです。」

と断られた。
オープン時間を把握してない私は、やっぱり観光客にすぎなかった。
"このへんを普段利用している一般人"にもまだなれなかった。

仕方がないテーブルに腰かけてボーッとしよう。
実は昨日カイロスカーの中の会話があまりにも面白くて、思い出としてボイスメモにそれを録音していた。
気色悪いと思われそうだけど、
このバンドが良いアンサンブルを作る仕組みを調査するためのものだった。
テーブルでイヤフォンをしてそれを聞いていたら
肩を揺らすほど笑ってしまった。
これは気色悪いと思ってもらっても致し方がない。
私は、よその人、旅の人です。
いつの間にか、バッグを抱えて眠っていた。


午後はレンタサイクルでも借りて市内を爆走したい。
それには、この天気だと帽子が必要だ。
スーパーの婦人服売り場で帽子を探すが、値段とデザインと東京に帰っても使うかどうかを天秤にかけて、何も買わなかった。
カイロスハウスに戻った。
乙川さんに、帽子を貸してほしいと相談すると
押し入れから色々掘り出し始め、キャップが3つぐらい出てきた。

・岡本太郎デザインの近鉄バファローズ
・○○のN○○
・○○のA○○

○○はアメリカのメジャーリーグのチーム名だった。

「全部野球帽じゃないですか。笑」
「野球好きですから。」

迷いなく岡本太郎デザインのキャップをかぶりたかったが、残念ながらキッズサイズでこの私でもピッチピチの被り心地だったため、赤いツバのついたAの帽子を選んだ。
ちょうどお腹も空いて来たから、ハウス住人おすすめの食堂へ連れてってもらうことにした。
その食堂は気まぐれな営業時間らしく、いつも行く前に電話して確認するらしい。
営業している場合、ワンオペレーションのため手が離せないのか、店の人は大抵電話に出ることはない。
電話をかけた。

「よし、居留守つかわれたから、空いてる。」

歩いて数分のところにある食堂は非常に可愛らしい佇まいだった。
可愛いといっても、壁があって扉があって、塀の上に看板がさりげなくぶら下がっているだけのシンプルなものだった。
寡黙なお兄さんが一人でやっているところだった。
チキンレモンソテーが、美味しい!!!
坂田さんと乙川さんと3人でテーブルを囲んで、年金とか仕事とか宗教の話とかした。



出町柳にあるレンタサイクル屋まで車で送ってもらった。
EMUSICA(えむじか)というところで、カラフルな看板が目に入った。
申し込み用紙に記入していると店の兄さんが
「K、a、…かいろす?カイロスですか?」と、私が着ているTシャツの文字を読んで聞いてきた。

「そうです!え、ご存知ですか。」
「はい。ホリデーレコードで知りましたよ!」
「へー!あ、あそこに居る方、Kailiosのメンバーですよ。坂田さーん。」

店の兄さんは某バンドの方で、PからリリースしたばかりのCDのフライヤーをくれた。
隣のお姉さんも音楽が好きな方だった。
私が明日ライブすることを話すと、
姉さんはいつの間にか手元のPCで会場名を調べてスケジュールを照らし合わせ
「あ!ドッグフード買い太郎!知ってますよ〜。変わった名前ですけど、いいですよね。」と話した。
ドッグフード買い太郎とは、明日わたしが出演するライブに呼んでくれた、広島の人である。
楽しく話して誤字を何度も発生させながら記入を終える。

「どの自転車がいいですか?」
「いっぱいあって選べないですね。」
「じゃあ〜これにしましょう!」

お兄さんが選んでくれたのは、手前にあった『姫』という名の赤い自転車だった。
キャップのツバも赤いし、今日の服によく合っている。
素晴らしいトータルコーディネイト!
めちゃめちゃ良い自転車屋さんだった。


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人生初、京都での自転車散策がはじまった。
これがたいへん素晴らしいことに気づいた。
今までの主な移動手段はバスや電車だったけれど、バスなんか行き先が不安だったり時間も明確ではないから
それを考えると自分の体力を使ってでも自転車移動が非常に楽なことがわかった。
それに、気持ちが良い。
アッ!と目に留まる景色の前に来たら、立ち止まることもできる。
高野川沿い、川端通を走って北へ向かった。
部落問題研究所、なんとか講堂、いろいろな文字が通り過ぎた。


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さっきから気になっていた妖しい黒い雲はこちらにやってきて、私が一乗寺周辺に着いた頃には雨が降っていた。
大垣書店に入って雨宿りした。
雨が止んだあと、金沢のブックカフェで読んだ雑誌から得た情報を生かして
ガトーモンブランという洋菓子屋さんに自転車を停めた。
お店の字体からしてすばらしい。
濁点はすべて輝きマーク。
店内は奥行きもあるし、天井も高い。高貴というよりは親しみやすい、昔ながらの洋菓子屋さんだった。
昔ながらではあるが、斬新で可愛らしいスイーツもあった。
その中のひとつ、グレープフルーツのゼリーを買って
お店の中にたった一つあるテーブル席に座って食べた。
ゼリーをすくって口に運ぶと、
驚くほど意外な食感で、ゼリーはゼリーなんだけど初めて食べたような感じだった。
グレープフルーツのみずみずしい味がする。
良いブレイクだ〜…まだ大した長距離移動はしていないけれど。


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ほとんど隣に、恵文社一乗寺店があった。
やっぱり楽しい文具コーナー。
本棚ももちろん。カラーブックスの特集が個人的に楽しかった。
恵文社の本棚は、作家別とか出版社別ではなく
食品とか健康とか旅とか建築とか生物とかのジャンルごとに本が並べられている。
私は恵文社で、どうしても買いたい本があった。
しかしこの並べ方の場合、探すのは一苦労である。
店員さんに聞けば一発かもしれないけれど、自分で探し当ててみたかった。
なんとなくここにあるかな、というジャンルの棚にはなくて
ふと力をぬいて何気なく文庫棚を眺めたら、見つかった。
そのときの「あったー!」感と言ったらたまらない。
記念にブックカバーをつけてもらったら、可愛かった。


続いて駅の反対側へ自転車を転がすと、なにやらなにやら妖しげな看板が目に入る。
妖しいおじさんが描かれたその看板には「心配御無よう」と書かれていた。
萩書房だ!!
小さな古書店で、店内の密度がすごかった。
この密度、どうしてこんなに落ち着くんだろう。
☆ンキホーテやヴィレヴ☆ンの密度とは、全く違うキャラクターである。
もう恵文社で2冊買ってしまったから、物欲は尽きていた。
けれど空腹状態で行ったら、なにかポンポンお土産に買っていただろうな。


さらに進むと、喫茶店が2軒あった。
「Pit in」か「のん」か。


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一番はじめに目に入ったPit inにインした。
元気なマダムが、お好きな席どうぞと発した。
入り口すぐの席にはたった一つのゲームテーブルがあり、そこは既に先客ひとりが馴染んでいた。
私は真ん中ぐらいの普通席に座った。
何を飲もうかソフトドリンク一覧を眺めると
グァバジュースがあった…
今朝、グァバジュースを注文出来なかった雪辱を晴らすときがきた。

「グァバジュースください、氷少なめで。」
「氷少なめ。はい。」

冷房が効いた店内で、大きな氷がひとつ浮かんだグァバジュースをストローで飲む。
ああ、グァバジュース、こんな味だったな。
次第に、お客が入ってきた。
おじいさま、おばあさまたちだ。順々に入って来て、4、5人くらい集まったのではないかな。
面白いことに、その全員がマダムと仲良く喋っており
みんな常連さんだった。
その会話から、ひどく雨が降っていることを知った。
私は飛び交うガチな関西弁を聞くともなく聞いていた。


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そろそろ出ようかなと立ち上がって、自分の席から扉の外をうかがうとマダムが
「もう降ってへんで、雨!」と言った。それはよかった。
このお店でもマッチの収穫はなかったけれど、
ローカルで面白かったなぁ。
有名店にはもちろん有名になるなりの確実な魅力が存在するが(特に京都はそう思う)、
地元の人がたくさん集う喫茶店こそ、その地の雰囲気を感じることが出来て良い。


練習をするため、カイロスハウスへ一時帰宅する。
夜は自転車を返してから四条とかへ繰り出して飲みに行くつもりだったから。
考えたら、カイロスハウスは一乗寺の近くで、このレンタサイクル利用を有効にお得に使えたかというと
そうでもないっぽい。
それを気に留めないくらい、自転車はすごく良かった。


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黒いVOXにギターを繋いで弾いた。
大きな窓からは公園が見える。
練習していると、自転車に乗って公園を何周もしている人がいることに気づいた。
ムスリム系のヒジャブ?をまとったお母さんが、ひたすら、ぎこちなく走っている。
しばらく見ていると、
自転車の走行練習をしていることがわかった。
私もさっき自転車走行をしていて、すごく便利だと思った。
日本に住み始めて自転車移動が必要になり、練習をしているのかなぁなんて想像をした。
その姿にグッときてしまい
私もがんばって練習をした。
絶対に、この音は公園にまで漏れているだろう。
お母さんの気持ちを高める音になっていたらいいな。


夜になって、自転車を返却しに行った。
そういえば乙川さんにレンタサイクル屋での出来事を話したら、台風クラブ(京都のバンド)の人もそこで働いてたんじゃなかったっけ、と聞いた。
えむじかに着くと、今度は別の男の人2人が店番をしており、そのうちの一人が
「台風クラブ」と書かれたTシャツを着ていた!

「あの、もしかして台風クラブの方ですか…?」
「ニヤニヤ…違いまーす!」

お兄さんは良質な「してやったり」的態度で答えた。
全くメンバーではなかったけれどやっぱり、台風クラブとゆかりがある店のようだった。
このレンタサイクル屋は、なんなんだろう。
働いている人がすごく楽しそう。
この店の看板をはじめて見たとき、EMUSICAのEとMが離れていてMUSICAに見えた。
なんか音楽をやっていたり好きな人が集まるそういう場所なのだなあ。



京阪に乗って気まぐれに祇園四条で降りた。
ようやく、賑やかしい繁華街に来た感じがした。
前に行ったことのある良い感じの定食やさんが、夜どんな雰囲気なのか覗きに行った。
ところが、その店があるはずの場所に、店がない!
休業日か。いや看板すら見つからない。
おなじ道を何度も往復してひとつひとつの建物をまじまじと見た末、
お店がなくなっていることを察した…
去年の5月に、友達と再会してすぐに入った定食屋さんだ。
新京極 奈於(なお)。
そうめんと天ぷらとホタルイカのついた定食に、瓶ビールを頼んで昼から乾杯した。
安くて美味しくて、気さくなご主人だった。
なんの話の流れだったか、京都のバンドくるりが好きなんですよと話すと、ご主人は
くるりの岸田さんの幼馴染の家がやっている飲み屋が北山にあるよ、と
店の名前は出て来なかったけどビル名まで教えてくれた。

「ここ、夜もやってるんですか?」
「やってますよ。夜はまた違うメニューでやっております。」

そのとき、ご主人がちょっと前まで体を壊し入院して、しばらく休業して、今はできる限りの営業時間でお店をやっていることを知った。そのときはすごく元気そうだったが。
なんだか色々心配になってしまい、お店がないことがショックだった。


続けて歩いた。
京都に住んでいる友達がインスタに載せていた、美味しそうなお店を目指した。
新しめ、きれいな店に勇気を出して入店した。
一人客の私はカウンター席で、文字だけのメニューを眺めて固まった。
まずは一杯、に対するお通し的なものを食べたいが、単価も高いからか、どうも適切なものが定まらない。
こういうのはかっこつけずに素直に聞くのだ。

「漠然としててすいませんが、おすすめはどれですか?」

メニューに「オススメ」と特別に書いてある一覧があるのに、私は尚もオススメを聞いた。
ご主人も「おすすめですか…うーん」と悩む。

「ビールを頼もうと思うんですが、まずは一品という感じの…」
「そうですねぇ、値段とか関係なしに、鱧(ハモ)が美味しいですよ。」
「鱧、ですか。やはり。(鱧が一番高い!)」
「観光ですか。」
「ええ、そうですね。(観光と言える観光じゃないけど、観光だな)」

鱧が美味しい上に、京都と言えば鱧だとご主人はすすめたのだろう。
そういえば、鱧なんてまともに食べたことがないかもしれない。
金沢でも京都でも、いわゆる観光スポットと呼ばれる場所には行っていないから、ここだけは浮かれて鱧を食べるチャンスにしていいなじゃないかと思ったた。

「生と、それから鱧、お願いします。」

ハートランドの生ビールと、お通しがついてきた。
そうだよ、自分でお通し的なの頼まなくても大抵の店ではお通しが一緒についてくるじゃん、と気づいた。
しかしお通しも美味しいな。
そして、湯通しされたぷりんぷりんの鱧がやってきた。
これを一人で食べるなんて、なんつー贅沢だろう。
「どうですか。」「美味しいです。。」
ちなみに一品一品、非常に美しい盛りつけをされていて
いわゆる"インスタ映え"しまくる品々だったのだが
店の人がいるそばで気軽に撮れない気がしたから、目の前のことを大事にした。
本当にきれいだったんだよ。

ただ、〆に頼んだすだちの半田そうめんだけは撮った。
あとから見たら、そのたった一枚がブレブレだった。
そんなことはともかく、すだちスライスが一面を覆い、ミョウガがふんだんに使われた半田そうめんは非常に美味しかった。
店を出るときに、可愛い姉さんが出口まで送ってくだすった。


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お腹はすごく満たされたのだが、
むしょうにホタルイカが食べたくて、別の店に入るか考えたり、
スーパーに立ち寄ったりした。
なかった。
前に一緒に京都へ行った友達に電話をしながら歩いて、あのお店がなくなっていたことを知らせた。
閉店前の三条のスタバに入って、フラペチーノを飲んでひんやりとした。

結局ホタルイカを見つけられないまま
カイロスハウスの最寄り駅に着いて、ローソンで缶ビールを買って帰った。
帰ったら、誰々にもらったという大量のミニトマトが洗い置きされており
それを小皿に4粒くらい持って、買ったときにビールだと勘違いしていた発泡酒のつまみにした。


カイロスハウスでは、今あいている部屋がひとつあって、私はそこを使っている。
絶賛ルームメイト募集中で、
部屋を出たデザイナーによる『ルームメイト募集』の印刷されたフライヤーが置いてあった。
わかりやすく、細かく説明されている。
共有スペースのソファでごろ寝しながら、
ここは気持ち的にはむちゃくちゃ快適だぞ、と説明を足したくなった。


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→あたいの夏休み5 京都 本編

 
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