2017/09/12 (火) 02:39:38

あたいの夏休み5 京都 本編

8月29日
叡電に乗り込んで出町柳に出た。
朝ご飯を食べに電車に乗るなんて、こういうときしかないなあ。

「美味しいパン屋でパンでも買って、鴨川デルタで川に足突っ込んで食べてみるのも乙なんじゃない。あ、とんびに襲われるかな。」

そんな名案を、数日前に京都へインするときに耳にして、今朝それを実行してみたくなった。
ざわちゃんがおすすめしてたパン屋の名前は忘れてしまった。

ベーカリー柳月堂の扉をあける。
さすが名店。パンコーナーの奥には工房らしきところが見えて、かなり心躍るような内装になっている。
なんか昔ながらのモコモコ・てかてかしたパンを想像していたのだが
プレーンっぽい丸いパンから、ピザっぽいパンまで
想像以上に現代人の心も掴むラインナップをそろえていた。
実はこの2階が名曲喫茶となっていて、そこがすごく良いらしいのだ。


私は鴨川デルタに近づいた。
日差しが強くてやられそうだから、日陰でパンをかじる。
子どもたちが遊んでいたり、対岸では何かエンタメ要素に長けていそうなロケをやっていた。
とんびも飛んでいるし、白鷺も現れた。
そんな様子を見ているだけで心が穏やかになる。最高の朝食だなぁ。

美味しいパンを2つ食べ終わり、
同じく朝食をとっている白鷺にお近づきになりたくて、川に足を突っ込んでみた。
ジャリは痛いし、平たい石はヌルヌルと滑る。
歩行は簡単にはいかず、亀の足取りで歩いているうちに
上品な白鷺はパッと遠くへ飛んでしまった。
全方位、とんぼに囲まれた。


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こういう自然の中に居ると、意味もなく何か思いつく。
▽のところに行って珍しい色のとんぼを見つけたり、
誰かが石を集めて積み上げたタワーに
自分が拾った石を乗せてみたりした。

あまりにも夢中になりすぎて、暑さで頭が痛くなってきた。退散。
涼しい叡電に乗り込み、自販機でポカリを買って、
部屋に戻った。
扇風機2台を働かせ、アイスノン2つを体につけて、寝そべった。
そこまで酷い症状ではないが、冷房のないこの部屋で頭痛は引くのだろうか…
ライブまで、どう過ごそう…

すると部屋の扉の向こうから乙川さんの声が聞こえた。

「クララや、暑いんじゃないの。涼みに行かな〜い?」
「行きます。」

涼しいカイロスカーに乗り込んで出発。
東京から来た私をどこへ案内するのがイケてるか、乙川さんとざわちゃんが考えてくれた。
昨日行けなかったホホホ座に連れてってもらった。
かつてはガケ書房という本屋だったが、ついに行けないまま、それは"ホホホ座"に生まれ変わった。
言いにくい。ホホォザって言っちゃいそうだけど、きっと名店。

恵文社や、前のガケ書房のような、ガッシリとした店構えを想像していた。
来てみたら、全面ガラス扉のちょっと親しみ安い印象。
学園祭の看板のような絵で店名が書かれていて、思わず記念撮影してしまった。
新刊書籍のほかに、CDコーナー、作家たちのトートバッグとかがぶら下がっている。
ざわちゃんの知り合いのクリエイターの展示を眺める。
ふと手にした物理の文庫本を買ってブックカバーをつけてもらった。
めっちゃ可愛いカバーだ、おすすめ。


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左京区から、こんどは西陣の方へ向かう。
ゆったりと流れる夏の時間に、車でどっかに連れてってもらうこと。
なんだか、ばあちゃんが居る親戚の家に遊びに行って、従兄弟と遊んでいるような
懐かしい感覚だ。
私の希望で、さらさ西陣に連れてってもらった。
たぶんここは有名すぎるのだろう、
二人は私をもっと別のところへ連れてって行きたそうに脳内検索をかけていたけれど
私にとっては行ったことのないカフェだったから、構わなかった。

「○年ぶりだなぁ。東京から来た友達ここへ連れてきたなぁ。」


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ここは、京都の人が他県の人を案内するそういう店っぽい。
もとは銭湯だった建物を改装して出来たカフェで、番台とかトイレとか浴槽とかの跡がハッキリと残っているのが興味深い。
壁のタイルも可愛くて、もれなく"インスタ映え"するカフェである。
冷房の苦手な私が、冷房ガンガン当たる席に座って
棒棒鶏うどんを食べた。
そうしているうちに、頭痛もだいぶ和らいだ。
今日ライブをする三条VOXhallの建物の近くまで送ってもらった。
荷物が多いから、本当にありがてえ…




今日は、VOXhallと同じビルにある十八番(おはこ)という会場でライブである。
企画者、ドッグフード買い太郎(広島)に1月以来会う。
久しぶりー!と言ったけどあまり久しぶり感を感じなかったのが不思議だった。
買い太郎はしょっちゅう大阪や京都に遠征に来ているイメージがある。

「今年は何回行ったの?」
「今日で8回目かな。」

月一ペースだった。
買い太郎はこの日ツイッターでなぜか吹田市に引っ越したとかデマを流していたが、
何件か問い合わせが来たそうだ。
住んでいてもおかしくない、近畿でのライブ頻度である。

内田修人さんのリハーサル聴いたらとてもよくて
終わったあと数人で拍手してしまった。
実は私が「内田さんと対バンしたい」と買い太郎に希望したのだ。


今日、上の階のホールでは京都じゅうの大学軽音サークルが集まるオールナイトイベントがあり、
飲み放題で朝6時終演とのことだった。
今夜このビルは、陽と陰のコントラストが大変はっきりした様になることが予想された。


気が確かでなくなった買い太郎は
急にBGMを楽園ベイベーのループにしはじめた。
似合わない4つ打ちのチャカポカした雰囲気が浮き立った。
やがてそれは、ジブリのテーマソング集に変更された。
大阪のたいそん君、福井の水咲さん、大阪の内田さん、京都のゆ〜すほすてる、広島の買い太郎。
ステージに近い小さな空間で観ると、その個々の力が迫真にせまってくる。
買い太郎は
「クララズが残暑EPなんて作って持って来ているけど僕は夏はまだ終わってないと思っています。残り19枚あるそうなんであとで燃やそうと思います。」
と宣言してから夏の歌を立て続けに歌った。
買い太郎はこのあとちゃっかり、残暑EPを買ってくれたのだ。


会場には、知っている人がたくさん来てくだすった。
年に1、2回ぐらいしか会わない人たちなのに、というか出会ってから1年ほどしか経ってない人も居るのに
物凄い安心感を感じた。
関西がどんどん居心地の良い場所になっていることに気づいた。
今年の1月に知り合った台湾人のリンさんも来てくれて途中で帰ったけれども、最後に「よく休んでね」と耳元で言葉を残して去っていった。その通り。ぶっ飛ばして遊んだからよく休みます。
来てくださったみなさん、有難う。


終演後にまた楽園ベイベーが流れた。
謎に、ライブ中に一度も光ることのなかったドンキで売ってそうなミラーボールみたいなのがギラギラ光っていた。
買い太郎はハートランドの瓶を持ってステージに立ち、乾杯の音頭をとった。
がんばってみんなで、大学生のテンションに寄せるように。


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▲この中で京都在住の人は半分ぐらいしか居ない。


私たちはローソンで食料を買い込み、鴨リバーへ行った。
夏にこういうことをしたかったんだ!
…けど!
私は明日もライブがあるし、今晩、最終電車に乗り込まなくてはならなかった。
鴨リバーに着いて、コンビニでW.Cを借りていた主催者:買い太郎が合流したとたん、みんなで腰を下ろした。
真夏の鴨リバーサイドに集団で地べたに尻をつけて集まった、という悦に数秒浸ってすぐに、
「じゃあほんとすんません、終電がリアルやばいんで…!!また!!!」
と立ち上がってみんなに手を振った。
ゆさゆさとギターを背負って駆け足で坂をのぼる私は
これから鴨川へ尻をつけに下る女性グループとすれ違ったときに不思議そうな目で見られた。
最終の京阪電車には間に合った。

出町柳でタクシーをピックアップ。
「それギターですか?」
「あーそうです。エレキギターですね。」
現代、スティール弦の張ってあるギターは総じてアコギと呼ばれているが
運ちゃんの若いときはフォークギターと呼ばれていた。
今ではそのフォークギターは、フォークミュージック以外でも使われるからアコースティックギターと呼ばれるようになったのだなと、そんな話をしているうちにタクシーは最寄り駅に到着した。


はぁ無事に到着だ、とタクシーから降りて歩き出したそのときだった。
後ろからドサァっという低い音がした。
振り返ると、男性が自転車と共に倒れていて、痛がっている様子だった。
どうやら、私が降りたあと、そのタクシーと自転車がぶつかったようだ。
まじかいな…私は固まってしまった。
大丈夫、ですか?と一応聞くが、男性は痛みの中。
運ちゃんは、すぐに救急車を呼びますからと、電話をしながら
心配そうに見つめる私に(行って大丈夫ですよ)と身振りで示した。
どっちの不注意だったのかはわからないまま。
私が降りたあとのことだったにしても、私が使ったタクシーに誰かがぶつかってしまったということが
なんとも言えない気持ちにさせた。
一杯しか飲んでいなかったけれど、酔いが一気に醒めたようだ。
無事でいてくれ無事でいてくれと、願いながら夜道を歩いた。


帰ってから、このことを誰かに話さずにはいられなかった。

「まぁ大丈夫でしょう。そういうこともあるよ。左京区は魔窟だからねぇ。」
「えっ。魔窟なんですか…?」

ハウスの主から謎の単語を耳にしたまま、
おにぎりを食べて、部屋に戻った。
この数日間の旅では自転車移動を多くしてきたけれど、自分が無事に楽しめたことを噛み締めた。


→あたいの夏休み6 京都〜東京編

 
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