2017/11/04 (土) 13:46:26

雨がもたらした旅

10月27日

出演するはずだった滋賀県の野外フェスは、雨天のため中止となった。
それがわかったのは前日で、予約していた交通をキャンセルすることも可能だった。
旅先も雨だし、行かなければ旅費も浮いて、東京で贅沢しようかな〜ポワポワ〜ンなんて考えも、池袋で足つぼマッサージを受けながら浮かんだ。
(このあと、揉み返しの症状で軽い吐き気に見舞われた。こんなのは初めてだった。)

しかし家に帰れば、9割ぐらい準備の整った荷物があり、
旅に出る気持ちの高まりを撤収するのもなんだ、楽器を持たない旅もたまには良いなと、せっかくだから今晩東京を発つことにした。

深夜バス3列シートの真ん中。
すごい。全ての席がカーテンで仕切れるから、景色は全く楽しめない仕組みになっている!
そうはさせまい。
東京駅から四谷方面のコースは景色が非常に美しいことを私は知っている。
隣の席に乗客がいなかったので、そっと身をスライドさせて、カーテンを少し開けた。
たった数分間だけど皇居周辺の慎ましく美しい夜景をみた。
あとはSAに降り立つ以外、箱の中でただ揺られて到着を待つのみ。
ワクワク要素は、ときどきスマホで現在地確認をすることで味わえた。


10月28日

京都は今年で3度目だった。
嬉しい、けどさすがに、京都駅に着いてもドキドキワクワクしなくなった。それも寂しい。
折りたたみ傘じゃ済まない雨の量をみて個性の薄いビニール傘を買って、地下のコインロッカーや化粧室に行った。
そのとき、化粧道具を一切合切、家に置いて来たことに気づいた。
人に会うのに、きゃー!
…と言っても、
私は化粧をしてもしなくても他人から見たらどっちも一緒みたいな顔立ちだし、ライブもないし、
ナチュラルクララズで行くことにした。
最近、"選択肢が少ない方が色々楽"ということを知ったから、なすがままに旅することにした。
化粧室では、深夜バスで到着したであろう女子たちが、
これからの京都町歩きに向けた準備で
鏡に張り付いてめかしこんでいた。


市バス乗り場へ足を運ぶ。
朝だからか、本数が少ない。私が目指す四条烏丸方面でさえ20分以上は待った。
寒い…でもそこに向かうしかないから待つ…
文庫本を持っていってよかったと思う。


ようやくバスに乗り、四条烏丸に到着する。
私はここでなにがしたかったかというと、朝ご飯を食べること。
前に、おのまんさん(VOXhall)が教えてくれた都野菜 賀茂へ行きたくて、そこでは朝食バイキングを500円で楽しめる。
「朝からやってるし安いから、夜行バスで来たバンドマンなんかよく使ったりしますよ。」
"バンドマンは金がない"を大前提とした営業トークである。
あろうがなかろうが、すすめられると行ってみたくなる。
閑静な道を歩いて行くと向こう側に、
明らかに朝に不自然な人の集まりが見える。人々は何に並んでいるのか。まさか私がこれから行く店じゃないよな。


そうでした。
私が目指していた朝食バイキングのお店でした。さすが土曜日、大繁盛です!!!
一瞬怯んだけど、このためにバスを待ったあの寒い時間を考えると、
それを無駄にしたくはなかった。
「選択肢はない」と思うとやっぱり楽だった。並んだ。
ちなみにバンドマンっぽい人は一人として見当たらなかった。
これまた寒くて辛抱だったけど、
ときどき列整理のため、傘もささず外に出て来るお母さんみたいな店の人は、これだけ人数が多いのに明るく丁寧に一組一組に伝わるよう言葉をかけてくれて、励みになった。
ようやく店の中に入って寒さをしのげる席にありつくことが出来た。
お米、お粥、野菜、トースト、味噌汁、いろいろあった。
安いのに、やっつけ感のない美味しさだった。



エネルギーを補充したあとは、四条通を西に歩いた。
亀屋良長という和菓子の店は早くから開いていて、前に来たときより輝かしい内装になっていた。
ここはお気に入り和菓子やさん。
伝統的でありながら硬派すぎない、斬新なスタイルも取り入れている姿勢がいいなと。
気になって外から店を覗く外国人男性がいた。
私が迷いなく扉を開けたことに安心したからか、その人も中へ入った。
外国人男性は私よりも迷いなく店員と相談をして買い物を済ませていた。
私も試食を頬張ったり美しい和菓子を眺めたりして、
お土産を買った。



その近くに、竹笹堂というお気に入り雑貨屋さんがある。
木版画の絵柄の雑貨があり、ひとつひとつ手摺りだから、配置などがまったく同じプリントがひとつとしてないのだ。
素敵な木造建築が並ぶ通りを歩き、お店に着いたと重いきや
なんと開店時間より20分早い到着だった。
また…また寒い雨の中、待つのか…
でもほかに寄るところと言えばコンビニぐらいしか思い当たらず、
20分の待ち時間のために歩くのも面倒だから
屋根を借りて店の前で待つことにした。
お店の人が私の存在に気づいて、ちょっと特別に早く開けてくれることを信じて…
甘い、お店の中に人の気配があるものの扉が開く気配はない…
やがて開店10分ぐらい前に女神の囁きが。

「よろしければ、中入ります?」
「…いいですか?すみません早い時間に。(よっしゃーーー!!!)」

店の方が、傘置きのための重そう〜なツボを扉の横に置いた。
私はそこに濡れた傘を入れ、店の中に入った。
10畳ぐらいの広さ、ほんとに畳の床に上がって商品を眺める感じ。
和柄だけでなくモダアンな可愛らしい柄もあるから
日常に馴染むイメージがすぐに結ばれる。
というわけであれこれ悩んで商品手に取って初日の午前のうちに既に最低限のお土産が揃ってしまった。
女神…店の方、ありがとう。


学生時代の友達、ヒアタマさんと三条で会った。
タイ料理を食べたあと、行きたい喫茶店を目指すことにした。
築地、という名前を聞いて友達は「東京の築地やん」と笑っていたけれど、私も由来についてはさっぱりわからない。
しっかり作り込まれた内装で、流れている音楽は古典的な弦楽曲、店員さんはきびきびしておりクラシック感がすごい。
階段も席も、私でさえ「ミニチュア感」を感じた。

「この感じは、神戸にある北野の異人館知ってる?その再現感があるなぁ(笑)」
「こんな感じでしたっけ。」

ヒアタマさんと会合するとちゃんと音楽の話をする。
最近ハマってるドラムの音とか、そういうのを話しながらも
音楽を聞かない時期なんてあるよ、とサラッと聞いて私は安心した。


ヒアタマさんと解散して、
京都駅のコインロッカーから大荷物をとり、カイロスハウスへバスで向かった。
30分くらいで行けるだろうと舐めていたら、1時間はかかった。
夕方に駅から銀閣寺方面に北上して行くのは新鮮だった。



閑静な住宅街に着き、現地の人々と会うと、観光客だらけだった繁華街とは違う時間が流れはじめた。
今晩は、カイロスハウスで、中止になったフェスの打ち上げをする。
買い物に出かけ、大きな吹き抜けのスーパーに感動し、
ピザ屋の商品名や良心的な値段に驚きながらピザを受け取り、
ハウスへ戻るとたくさんの人が揃っていた。

みんなに、中止になったのにわざわざ来たんやと言われるたび、「ピザ食べに」と答えた。
その通り。前日、中止になっても行きますと主催者に伝えてから迷いが生じたものの
「みんなでピザパーティでもしましょう」の言葉で
私の足先は完全に京都に決まったのだ。
ピザの引力、すごいじゃないか。
主役のピザはでっかいのが4枚並び、実に美味しかった。
大阪、京都のお友達がいっぱいいて、初めて知り合う人も居たがなんと居心地の良いこと。

目玉だったのは、カイロスハウスの新しい住人:せいちゃんのマジックショーだった。
ガチなマジシャンによるトランプマジックを間近で見たのは初めてで
すがすがしいほどに皆で騙されまくった。
雨の中、ガーランドの吊るされたカイロスハウスの中は、とても温かかった。


→ 雨がもたらした旅 2

 
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